・地中の思索者
 
美しい宝石の結晶は人目に付かぬ地下深くで生まれ、ひっそりとキラめいている。
その光景は人の世にも似ている。
思索者はまるで宝石の様に、世の深部で静かに輝きをたたえている。

なぜ彼らは地中に留まるのか。
ひとたび地表に現れるなら、風雨に晒され、荒く濁った岩石にぶつかり、
その繊細な結晶は傷だらけになってしまうのだろう。

私は感受する。

たった今、この地下深くに潜む、まだ見ぬ美しい結晶の息づかいを。
彼らは独り地中で目を閉ざし、己を見つめているのであろう。

誰の目にも触れず精錬された思索、それは最早、
世俗を超えた輝きを秘めているに違いない。

もし彼らの気が向くならば、観察者のためにも、
その言葉を世に現して欲しいと願うのであった。